長野地方裁判所 昭和61年(わ)64号 判決 1986年5月29日
国籍
韓国(忠清南道唐津郡合徳面玉琴里)
住所
長野県松本市大字芳川平田四八二番地二
遊技場経営
金斗権
一九二四年五月一六日
本籍
長野県上伊那郡南箕輪村八三〇四番地
住所
同県伊那市大字美篤五七七七番地三
会社役員
原清
大正一二年三月一二日生
右両名に対する所得税法違反各被告事件について、当裁判所は、検察官吉田博視出席の上審理し、次のとおり判決する。
主文
被告人を金斗権を懲役一年六月及び罰金四〇〇〇万円に、被告人原清を懲役一年に各処する。
被告人金斗権において、右罰金を完納できないときは、金六万円を一日に換算した期間(端数は一日に換算する。)同被告人を労役場に留置する。
被告人両名に対し、この裁判の確定の日からいずれも四年間、それぞれの懲役刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人金斗権は、長野県松本市大字芳川平田四八二番地二ほか三箇所においてパチンコ店等を営んでいるもの、被告人原清は、計理士を自称しし被告人金の決算代理行為を行っているものであるが
第一 被告人両名は、共謀の上、被告人金斗権の所得税を免れようと企て、売上を除外する等の不正の方法により所得を秘匿した上、昭和五七年度分の総所得金額が六七五七万七六〇六円で、これに対する所得税額が三六〇〇万二〇〇〇円であるにもかかわらず、昭和五八年三月一五日、前同市城西二丁目一番二〇号所在の所轄松本税務署において、同税務署長に対し、同被告人の総所得金額が二五八六万八二五七円で、これに対する所得税額が九四九万四〇〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって不正の行為により右正規の所得税額三六〇〇万二〇〇〇円と右申告額との差額二六五〇万八〇〇〇円を免れ
第一 被告人両名は、被告人金斗権の従業者である山本正植と共謀の上、被告人金斗権の所得税を免れようと企て、架空仕入を計上する等の不正の方法により所得を秘匿した上、昭和五八年度分の総所得金額が二億四六三六万〇一九三円でこれに対する所得税額が一億六九五六万一九〇〇円であるにもかかわらず、昭和五九年三月九日、前記松本税務署において、同税務署長に対し、同被告人の総所得金額が三〇一三万一六七五円で、これに対する所得税額が一一七〇万一〇〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって不正の行為により右正規の所得税額一億六九五六万一九〇〇円と右申告額との差額一億五七八六万〇九〇〇円を免れ
たものである。
(証拠の標目)
一 被告人両名の当公判廷における各供述
一 被告人金斗権(六通)、同原潔(四通)の検察官に対する各供述調書
一 山本正植(五通。ただし、昭和六一年三月二九日付、同年四月一日付のものは、判示第二の関係)、鄭都(二通)、矢嶋和壽(二通)の検察官に対する各供述調書
一 松本税務署長作成の証明書
一 検察官、弁護人及び被告人両名共同作成の合意書面
(法令の適用)
判示行為
所得税法二三八条一、二項、刑法六〇条
刑種の選択
被告人金につき懲役刑及び罰金刑の併科被告人原につき懲役刑の選択
併合罪加重
刑法四五条前段、被告人両名の懲役刑につき四七条本文、一〇条(重い判示第二の罪の刑に加重)、被告人金の罰金刑につき同法四八条二項
労役場留置
刑法一八条(被告人金につき)
執行猶予
刑法二五条一項(被告人両名の懲役刑につき)
(裁判官 尾崎俊信)